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変な(過激な)置き薬


江戸時代から続く“先用後利”に象徴される配置売薬の歴史や伝統、課題と展望など難しいことは後回しにして、実にバラエティに富んだ置き薬の世界をご紹介したいと思います。

置き薬は普通中袋(;これは個包装のことで1~2回分の粉末や錠剤の薬が入っています。)いくつかを外袋に入れ、さらに何種類かの外袋(;風邪薬、はらいた薬、婦人薬、さらには目薬、軟膏など)をさらに大きい預け袋や預け箱に入れておくものです。

今回は現在の一般用医薬品には見られない、変な(過激な)置き薬をご紹介いたします。
時代の流れとして当時は商品の売り上げを伸ばすため特にパッケージのデザインと名称に力を傾注していたようで、その面が端的にあらわれた例と解釈しております。


ぱあ 1. ぱあ(奈良県橿原市産。1包入り30円。)

五つの効き目(神経痛、はいた、づつう、肩のこり、風感冒)があるので、手を開いて 五本の指でぱあという名前です。ちなみに手元にあった広辞苑を紐解くと、ぱあとは・じゃんけんのぐう、ちょき、ぱあのこと。調子の狂っていること。抜けていること。ばか。とあります。(広辞苑を紐解くまでもありせんが。)
関東では馬鹿(;バッカジャナイノなど)、関西では阿呆(;アホヤネンなど)の方が良く使われるので、関東人はアホと言われると、また関西人はバカと言われると本気で怒ります。ではぱあはどうなのか?関東では誤解を受ける名称のように思えますが・・・。


大阪青チロゲロリン 2.大阪青チロゲロリン(奈良県大和高田市産。1包入り20円。)

名前の由来は?デザインはよくあるケロリンのようなパッケージで、ケロリンのゾロ(後発品)を目指して名前も真似たのか?ケロリン→→ゲロリン。ゲロリンでは吐きそうなので可愛くチロをつけてチロゲロリン。しかもあおいので青。(緑色ですが緑を青とも言います。緑色の青々とした稲田を青田と言うように。)さらに大阪を強調して大阪青チロゲロリン。
こねくり回して何がなんだか分からなくなってしまった例で、浪速ではともかく関東人からみると変わった名前です。


ゼン ゼン 3.ゼン(奈良県見御所市産。6錠入り50円。)

1と2は変わった名前の例ですが、3と4は変わったパッケージの例です。 (外袋付き)かぜ薬には場違いとも思えるミス日本の表彰式のような美しき女王様。
こんなパッケージを見ると自分は38℃あった熱が40℃になってしまうのではないか??と心配になる次第です。


ピカドン紙風船 ピカトン 4.ピカトン(富山県黒部市産。1包40円。) &
  ピカドン紙風船 (奈良県高市群高取町産。)


超過激なパッケージの代表です。時あたかも朝鮮戦争(1950~1953年)の頃か? 朝鮮半島のあたりで原爆(というより水爆)が爆発しているデザインでしかも名前が(ちょっと遠慮して)ピカトン。ちなみに手元にあった広辞苑を紐解くと、ぴかどんとは・ぴかは閃光。どんは爆発音。原子爆弾の俗称。被爆当時に広島の子供が使い始めた語。一方紙風船の方はそのものズバリのピカドン。しかも爆風で髪がたなびいたような絵。
いずれもインパクトは強いですが、売らんがため・・、やりすぎのような気がします。


以上、置き薬紹介シリーズ第一弾を終わりますが、最近の薬はつまらないと感じるのは私だけでしょうか? ではまた。

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