置き薬・くすり屋のおまけ・景品シリーズ 2
~ 猪口・酒盃・その他 ~新企画の置き薬・くすり屋のおまけ・景品シリーズとして手始めに燐寸(マッチ)を紹介いたしました。
昔置き薬、売薬さんはお得意先が使ってくれる薬の額の5%ほどを景品(おみやげ)にかけたようで、かさばらず軽いものが好まれ特に紙風船が最もよく知られていますが、他にも売薬版画、引札(ひきふだ)、食い合わせ表、とんがり帽子、お面、手拭い(てぬぐい)、ぬい針、ぬり箸、九谷焼などなどいろんなものがありました。
後日順々にご紹介いたしますが、今回は昔置き薬、売薬さんばかりでなく多くのくすり屋でも配られた猪口をはじめとする陶磁器のコレクションをご紹介いたします。
(前回のマッチが禁煙、嫌煙の面から現代ではおまけに使われるのが考えられないように、猪口などの酒器も現代では薬のおまけとしては不適切、けしからんと言われてしまいそうです。)
まずは猪口と書いてもなかなか若い人には読めないかもしれませんが“ちょこ”と読みます。もともとは“ちょく”と読んだようですが、つまりは形が小さく上開き下すぼみの“さかずき・酒盃”、形が小さく上開き下すぼみのことでお酒(;あくまでも日本酒)を盛って飲む道具です。(イノシシの口のようにすぼんでいる。)
その材質としては漆器や金属、ガラス製のものもありますがほとんどは磁器や陶器で出来ており、薬メーカーの商標などが描かれています。
磁器は素地がよく焼き締まってガラス化し、吸水性のない純白透明性の焼物で伊万里・柿右衛門で有名な有田焼・九谷焼などの類いで、また陶器は素地が十分焼き締まらず水を吸い不透明で、その上に光沢あるうわぐすりを用いたもので粟田焼・薩摩焼などがあります。コレクションには磁器の九谷焼が多く、ご覧のように色彩(特に朱色:柿右衛門の柿の色)が鮮やかに発色出来ることから九谷焼が多い、そして高級感もあることから九谷焼が多いのではと推測しております。
開業五十週年記念長濱薬音商店 獨逸目薬 眼病一切 カイセン 皮膚病薬 |
驚た藥も是れ丈けきけば安心だ (九谷焼) |
一滴の酒百薬の長 風に一粒の薬 命の親 (九谷焼) |
トンプクいやでもなほる (九谷焼) |
不老長寿 五銭均一藥本舗 |
保生舘老薬房 (九谷焼) |
保生舘老薬房 (九谷焼) |
キクテング 製藥本舗 |
トンプク (九谷焼) |
スーン散 大和賣藥廣弘社 高砂(九谷焼) |
ホテイクスリ (九谷焼) |
五分間 (九谷焼) |
シヨキ本舗 近江 大原盛大堂 (九谷焼) |
薬 和泉屋薬局 (ぐいのみ) |
二輪に達磨印 (九谷焼) |
DAISIN 大心 |
〔付録〕
大坂道修町二丁目白井松之助 外科及物理他学器械舗 〈杯〉 |
化学医○器械○藥舗 大坂道修町二丁目白井松之助 〈杯〉 |
倉敷中央病院 〈小皿〉 |
飯田病院 〈小皿〉 |
丸茂薬局 陶器製軟膏壺 (軟膏を小分した際に用いた壺で、 繰り返し再利用したものと思われます。珍品) |
( 本項参考文献 )
・広辞苑(昭和44年版) 岩波書店
・太陽やきものシリーズ“伊万里 九谷” 平凡社
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