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薬業界 老舗歴史シリーズ 1

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~ 広貫堂 ~


以前〖今は昔シリーズ〗と題して現在も多くの愛用者を持つ伝統薬をご紹介しましたが、その中で可能なかぎりそれぞれの伝統薬を生み出した背景や創業者の紹介、創業から現在までのその会社の社史にも一部触れてみました。
〖今は昔〗はひとつの著名な伝統薬からみたシリーズでしたが、本項では視点を変えて薬の業界における長い歴史を持つ老舗とも言える会社、伝統あふれる会社をご紹介してゆきたいと思います。
今回は富山配置売薬の雄『広貫堂』を御紹介いたします。
  • 『広貫堂』の歴史をたどることは、すなわち富山売薬の歴史をたどることになります。
    富山の売薬= 配置販売業つまり先用後利商法による行商が確立されたのは江戸中期の富山藩二代目藩主の前田正甫(まえだ まさとし)公の頃とされますが、富山で売薬産業が盛んになった素地原因を考えますと富山という地は地理的に大陸・朝鮮半島に近いため漢方医学や漢方薬の知識が伝来しやすく、また動物性生薬をはじめとする原料生薬も流入しやすい地理的条件があったものと考えられます。
    また立山などの山岳信仰、修験道に伴う黄柏などを原料とする生薬製剤の全国への普及浸透も富山の薬を全国へ広める原動力の一つになったものと思われます。

  • そしてもともと薬に造詣の深かった前田正甫公は、ある時備前の医師万代常閑の処方薬によって腹痛に著効を得たことより、万代常閑を招きその製法を学びその命により富山の薬種商・松井屋源右衛門に製造を命じましたが、その薬が富山売薬の象徴ともいえる“反魂丹”です。
    この“反魂丹”は江戸城でも諸大名の間で評判となりまた将軍家にも献上されるなど富山の売薬の象徴とも言える薬ですが、コレクションのまず初めはこの“反魂丹”の江戸期配置売薬の“預け袋”と“反魂丹”の薬袋です。
    “反魂丹預け袋”
    反魂丹預け袋
    “反魂丹薬袋”(江戸期)
    反魂丹薬袋

  • その後富山藩では反魂丹役所を設置して品質の確保や製造流通のシステム化保護育成を計り全国へと売薬行商圏が拡大してゆきました。 そして明治維新の廃藩置県によって反魂丹役所は廃止されましたが、それに代わって配置家庭薬業者が共同で明治9年(1876年)に創設したのが『富山廣貫堂』で後の、また現在の『株式会社廣貫堂』となるわけです。
    『廣貫堂』は明治27年(1894年)には私立薬学校を設立し業者、配置員の育成に勤めるなど現在にいたるまで薬都富山の中核としてその発展に尽くしてきたわけです。 なお『廣貫堂』の社名は前田正甫公の「医療の仁恵に浴せざる散村僻地にまで広く救済の志を貫通せよ」との訓示に由来し、その商標は創設時より反魂丹役所にちなんだ“ふくら雀”の紋章(:日々の健康のため、なくてはならない家庭用配置薬が全国に羽ばたく雀のようにすみずみまでおし広げられるようにとの願いを込めて…。)となっています。

  • では『廣貫堂』にちなんださまざまなコレクションをご覧下さい。
    なお本号ではそのうちの薬本体以外の文献や資料的なもの、いわゆる紙ものコレクションの一部をご紹介させていただき、残りの紙風船やチラシそして薬本体に関するコレクションは次号以降でのご紹介とさせていただきます。

○『株式会社廣貫堂ノ信條ト沿革』(:戦前、たぶん大正期の資料です。)
株式会社廣貫堂ノ信條ト沿革株式会社廣貫堂ノ信條ト沿革
株式会社廣貫堂ノ信條ト沿革
株式会社廣貫堂ノ信條ト沿革

○『廣貫堂案内』(:戦後、たぶん昭和30年代の資料です。)
廣貫堂案内 廣貫堂案内

○『廣貫堂』関連各種絵葉書(:12種類)
『廣貫堂』関連各種絵葉書
越中富山ノ反魂丹 賣薬製造ノ本家本元
『廣貫堂』関連各種絵葉書
(富山)賣薬會社廣貫堂
『廣貫堂』関連各種絵葉書
賣薬會社廣貫堂 試驗室ノ一部
同 印刷場ノ一部
『廣貫堂』関連各種絵葉書
包装部 廣貫堂事務所

『廣貫堂』関連各種絵葉書
本館    講堂
『廣貫堂』関連各種絵葉書
試驗室  包装工場
『廣貫堂』関連各種絵葉書
株式會社 廣貫堂 全景

『廣貫堂』関連各種絵葉書
貴賓室  株式會社 廣貫堂御座所
『廣貫堂』関連各種絵葉書
事務所 株式會社 廣貫堂 正門
『廣貫堂』関連各種絵葉書
株式會社 廣貫堂試驗室ノ一部
同 調剤場ノ一部
『廣貫堂』関連各種絵葉書
株式會社廣貫堂装置場ノ一部
同 印刷場ノ一部
『廣貫堂』関連各種絵葉書
配置賣薬創始者舊富山藩主前田正甫公銅像
反魂丹創製者萬代淨閑翁像

○『廣貫堂』年賀はがき
『廣貫堂』年賀はがき 『廣貫堂』年賀はがき 『廣貫堂』年賀はがき 『廣貫堂』年賀はがき

○『富山市街圖及廣貫堂案内』 富山市街圖及廣貫堂案内 ○『廣貫堂音頭』 廣貫堂音頭

○『廣貫堂絵図・弊社の光栄』
(:明治~大正期か。)
廣貫堂絵図・弊社の光栄
○『富山市株式会社廣貫堂薬調工程
並本社組織實況』(:戦前)
富山市株式会社廣貫堂薬調工程並本社組織實況

○『大阪朝日新聞社主催 産業合理化展覧會出品
富山市株式会社廣貫堂薬調工程並本社組織實況』(:戦前)
大阪朝日新聞社主催 産業合理化展覧會出品富山市株式会社廣貫堂薬調工程並本社組織實況
○『時代的新製剤』
(:戦前)
時代的新製剤

○『引札』(:戦前。コピー。)
引札
○『引札』(:戦前。)
引札

○『引札』(:戦前。)
引札
○『引札』(:戦前。)
引札

○『弊舗発売の薬剤の由来且つ価格の割引せざる理由
『製剤本舗 富山市 株式会社廣貫堂 金盛長藏』
弊舗発売の薬剤の由来且つ価格の割引せざる理由

○『廣貫堂紙風船』
廣貫堂紙風船
○『廣貫堂紙風船』
廣貫堂紙風船

○『預箱』
預箱

預箱
○『廣貫堂琺瑯看板』
廣貫堂琺瑯看板

○『預け袋』
預け袋

預け袋

○『トヤマ廣貫堂しょう油さし』
:サービス品と思われます。(珍品)
トヤマ廣貫堂しょう油さし

○『御藥入 富山市 株式会社廣貫堂 金盛長藏』
御藥入 富山市 株式会社廣貫堂 金盛長藏
○『快通丸 能書き』
快通丸 能書き

○『トンプク イタミドメ ちらし』
トンプク イタミドメ ちらし
○『ピリン丸 能書き』
ピリン丸 能書き
○『固腸散 ちらし』
固腸散 ちらし

○『セキドメ新薬 ちらし』
セキドメ新薬 ちらし
○『強力ネオ眞治 ちらし』
強力ネオ眞治 ちらし
○『強肝 熊膽 ちらし』
強肝 熊膽 ちらし

○『マルコ フラシン軟膏 ちらし』
マルコ フラシン軟膏 ちらし
○『食い合わせ 引札』
食い合わせ 引札
○『食い合わせ 引札』
食い合わせ 引札

○『整腸はら薬 ちらし』
整腸はら薬 ちらし
○『食い合わせ 引札』
食い合わせ 引札

○『火の用心 食い合わせ 引札』
火の用心 食い合わせ 引札
○『食い合わせ 引札』
食い合わせ 引札
○『昭和17年略歴 食い合わせ 引札』
昭和17年略歴 食い合わせ 引札

○『食い合わせ 引札(山本富士子)』
食い合わせ 引札(山本富士子)
○『富山売薬世界販路圖 富山売薬生産年次比較』
富山売薬世界販路圖 富山売薬生産年次比較

(1)薬袋(内袋)のみ
○『肝涼圓』         ○『人参實母散』         ○『カゼ ネツ 眞治』         ○『ピリン丸』
薬袋

(2)薬袋(内袋)と薬
○『胃腸 反魂丹』              ○『六神丸』              ○『錠剤 かぜ』
薬袋

○『新錠剤 かぜ』              ○『錠剤 かぜS』              ○『トンプク 眞治』
薬袋

○『ずつう』              ○『セキドメ新薬』              ○『強力せきどめS』
薬袋

○『マルコ セキドメ新薬S』         ○『こども風・せき薬 新顆粒オイヒ』         ○『はら薬』
薬袋

○『整腸はら薬』           ○『正方 赤玉はら薬』           ○『セメン圓』
薬袋  薬袋  薬袋

(3)薬本体のみ
○『はん魂丹』(:明治初期の創設当時の反魂丹と推定されます。残念ながら薬袋のみ。)
はん魂丹

○『正方反魂丹』
正方反魂丹

○『反魂』
反魂

○『反魂』
反魂

○『キナキナ圓』
キナキナ圓

○『金清丸』
金清丸

○『脳錠』
脳錠

○『高度ネツトル』
高度ネツトル

○『五龍圓』
五龍圓

○『肝涼圓』
肝涼圓

○『敬震丹』(:残念ながら薬袋のみ。)
敬震丹

○『健婦湯』(:箱製で、パラフィン紙
に包まれています。七拾銭。)
健婦湯

○『ピストル丸』(:左端は残念ながら薬袋のみ。)
ピストル丸

○『カゼネツ 眞治』 ○『強力 眞治』 ○『強力 ネオ眞治』 ○『解熱 眞治S』
○『カゼネツ 高級トンプク』 ○『新感冒薬 錠剤かぜS』
カゼネツ 眞治

○『新感冒薬 錠剤かぜS』 ○『カンボー錠S』 ○『強力せきどめ』
○『マルコ セキドメ新薬』 ○『マルコ セキドメ新薬S』 ○『ずつう はいた』
新感冒薬 錠剤かぜS

○『散剤 せきどめ』 ○『強力せきどめS』 ○『こども風・せき薬 散剤オイヒ』
○『オイヒ』  ○『整腸はら藥』 ○『如神丸 はら藥』 ○『こども はら藥』
散剤 せきどめ

○『はらいたトンプク』 ○『セメン圓』 ○『小児藥王 金匱救命丸』 ○『SK錠』
はらいたトンプク セメン圓 小児藥王 金匱救命丸 SK錠



〔参考文献〕
・富山売薬の歴史                  薬日新聞社
・風俗 越中売薬                  巧玄出版
・先用後利                     北日本新聞社
・インターネット  『廣貫堂』HP
・インターネット  『ウィキペディア Wikipedia』


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