置き薬・くすり屋のおまけ・景品シリーズ 6
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~ くいあわせの図 ~前回の置き薬・くすり屋のおまけシリーズ(その5)では“売薬版画”を取り上げましたが、似たような紙物の景品の典型に“くいあわせの図”があります。
近年薬同志の飲み合わせ、相互作用は一般の方にも概念として普及し、薬の相談会などではよく質問されるようになりましたが、一方“くいあわせ”は医学的に根拠が薄いせいか、また飽食、雑食、無国籍料理の氾濫のせいか、最近はあまり言われなくなりました。
“くいあわせ”とは“同食”とか“食合”とか“喰ひ合せ”とか書くようで、いっしょに食べあわせると体に害になるものを言います。
“くいあわせ”が医学的に根拠があるものかはともかく多くの資料に登場する命にかかわる“くいあわせ”の一例として“梅干しと鰻(ウナギ)”がありますが、実際に死ぬかはともかく、贅沢品の鰻(ウナギ)と粗食の梅干しを一緒に食べるべきではないという道徳的な考えが背景に伺い知れます。
また西瓜(すいか)と天ぷらなどはつまりは油物と水気の多い食べ物の食べ合わせは現代でも胃弱・胃アトニーのお方は消化不良を起こすと思われ、うなずけるものです。
そして“くいあわせ”の延長として消化時間の知識や中毒の時の手当て(;チラシに書かれた売薬を飲めばよい!!)の方法なども触れられ、衛生環境が十分とは言えなかった時代の衛生知識の普及、啓蒙には非常に役立ったものと思われます。
また時代が経るにつれて特に“火の用心(要慎)”の標語や栄養素の一覧表も加えられ、そして時勢を反映して“一億一心大東亜建設” “頑張れ勝ち抜け今日も決戦明日も決戦” “忘るな君恩守れよ銃後”などの戦時スローガンなども書き加えられました。
コレクションのうち 1.[同食養生心得](:当時は“食い合わせを”“同食”と書き表したようです。)は明治31年(1898年)に印刷されたチラシで、2.[喰ひ合せの心得]は昭和9年(1934年)に印刷された冊子です。
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( 本項参考文献 )
・高橋善丸 著 お薬グラフィテイ 光琳社出版
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