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昔はこんな薬もありました 16

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~ 健康器具 ~



  • 昔のいろいろな薬や健康器具を紹介してきた“昔はこんなものもありましたシリーズ”、前回ではお菓子のような薬をはじめいろいろな薬をご紹介しましたが、今回は健康器具を取り上げてみました。
〖健康器具類〗


○『不老 陶枕芳香液』
:主原液は佛國製という、“同國上流社會において盛んに用ひられつつある安眠促進芳香液と同一調整したもの”で、その複郁たる香は氣分を爽かにして安眠を促す… と書かれています。
別売りの不老陶枕の両端の装置に本液を染み込ませた海綿・ガーゼを入れて使用するものです。
現代流行のアロマセラピーの先祖のようなものです。



○『イトオテルミン線』
:東京理医学療法研究所所長、日・米・英・仏・独発明考案者の伊藤金逸医学博士が創製した『イトオテルミン線』です。
お線香のようにして使うお香のたぐいらしく一種の燻煙療法のようです。
多少宗教がかっており、別名「燻料・熱元 人工霊の素」。
健康療法イトオテルミー聖道会が広めていたようで、単なるお香でなく霊気が込められているようです。
植霊、術用、即時、速効、燻料、駆虫などの文字が書かれています。



○『志らみうせひも』
:“官許 賣薬規則外”
何らかの薬(薬草や水銀の類)が染み込ませてあるようですが、この紐を襦袢の上から締めておと2・3日でしらみはうせて(消えて)、又他の人からもうつることがないという紐です。
この防虫具については防虫研の秦和寿先生の「有害生物」誌11号97-102(2014)に詳細に考察されており「しらみ紐」は江戸期から用いられており、江戸の末期には旅行時の携帯品として、また日常生活でも常備品であり、そのしらみが蔓延していた状況は明治・大正期でもあまり変わらなかったようです。
本号の掲載の『志らみうせひも』は明治時代後期の品物で特に戦地、日清・日露戦争当時は兵隊が個人の携行品として戦地に持参することが普通であったとのことです。


○『シラミ石鹸』
:独逸(ドイツ)式シラミ石鹸。洗髪使用后石鹸の泡をつけたままにしてタオルを頭全部にグルリと包むようにしますと五分間にして化學的強力なる殺菌ガスを發生してシラミ毛シラミを三十分間に洗滅する石鹸です。
シラミは死んで頭髪は清潔柔軟になるも皮膚には絶対無害、安全という獨逸(ドイツ)科學の結晶という石鹸です。

警告として「近頃各地の小学校を訪問してナフタリン粉末や除虫菊、樟脳油石油等の混合物を以て殺虱として販売する者があるが一時的薬臭にて親虱を落とすのみで頑強な子虫や卵には効力なく数日後には再発し、ただ毛髪、皮膚を傷めるだけになる。」と書かれており、さらに「今や東京その他の都市各小學校では疾風的に限り無く蔓延する女児童のシラミ退治、予防として日曜毎に『シラミ石鹸』を以て洗髪使用を極力奨励しているのである。
大概一度で十分であるが、時によると二度行なわねばならん事もあり。」と記されています。



〔参考文献〕
・インターネット『ウィキペディア(Wikipedia)』他
・薬学大事典       日本工業技術連盟
・『伝統的な防虫法および防虫具 第1報志らみひも』 秦 和寿
           「有害生物」誌11号97-102(2014)


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