薬と歴史シリーズ 14
~ 目薬の変遷 5 ~=目薬(めぐすり)の変遷=
このシリーズでは昔の薬局、薬屋で扱っていた品々を取り上げていますが、今回は身近な薬、目薬(めぐすり)の変遷をたどってみたいと思います。
(4)明治維新、文明開化以降の売薬目薬
〈そのIV〉ポンと叩いて滴下するタイプの目薬たち
- 〈そのIII〉のガラス管を用いて点眼する目薬の後には、ゴム製品の普及によるスポイトタイプや上下がゴムで出来た点眼容器が登場しますが、昭和の10年代物資(ゴムやガラス)不足の折から、省資源の目的で開発されたのがこの項でご紹介する底(というか頭を)ポンと叩いて滴下する、もしくは手に持ってしばらくすれば、薬液が暖まって膨張し自然と滴下するタイプの目薬です。
(頭のキャップにゴムが使われています。)
このタイプの容器は点眼に際して、底を強く叩きすぎると先端が目にあたり危なくかなりの器用さが要求され、また震えないで滴下をジーと待つのもかなりの筋力と根気を必要とする容器ですが、現在の点眼容器でも見られる逆流(;点眼に際してスポイトのように涙液や分泌物を吸い上げてしまい、“目薬に異物が混ざっていた!!”とのクレームの元となる。)することはまず無いと思われますので、その点では衛生的に完璧と評価出来ます。
またこのような薄手のガラス容器を作成し、薬液を中に詰めるにはかなりの製造技術の発達があったと思われますが、ある意味では材料原価が比較的安かったためか、戦後近くまで使われていたようです。
- この方式の目薬としてはコレクションには『スマイル』や『パミール』『スミール』『ライオン目薬』『名眸スミール』『仁愛目薬』『第一目薬』『明眼水』『マルヒ目薬』などがあります。
〔付記:名眸(めいぼう)とは“澄み切って美しいひとみ。はっきりした目もと。
”これが発展して名眸皓歯(めいぼうこうし)とは“澄んだひとみと白い歯”のことで美人の形容。〕
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